ソフィー・メシャリー インタビュー :
子どもの頃からの夢だったステーショナリーコレクション
「ポール&ジョー ラ・パペトリー」

ポール&ジョー(PAUL & JOE)の本社があるパリ、北マレ地区。賑やかなブルターニュ通り沿いにあるカフェ・シャルロは、ファッション関係者のたまり場のようなスタイリッシュなスポット。ポール&ジョーのアーティスティック・ディレクターであるソフィーさんが仕事の合間に、毎日のように訪れているお気に入りの一軒です。

午後の眩しい太陽の光が照らすテラス席で、ソフィーさんの隣に座る20代の青年は、長男のアドリアン。現在は本社でママの右腕として活躍しているのだそう。頬に慌ただしくキスをして仕事に戻る愛息子を見送った後、2016年秋に誕生した新しいコレクション、「ポール&ジョー ラ・パペトリー(PAUL & JOE La Papeterie)」についてソフィーさんが語ってくれました。

TEXT : 田中敦子 PHOTO : 村松史郎

書くことが大好き!

「昔から書くことがとっても好きでした」というソフィーさん。「仕事の場面ではパソコンやメールをメインに活用していますが、紙に手書きすることはずっと続けてきました。美しい紙製品や筆記用具が大好きで、子どもの頃にはきれいな便箋が流行っていたから、自分だけのお気に入りのレターセットや美しい万年筆をコレクションしていたのよ」と、ステーショナリーへの思い入れは昔から深かったそう。

「学生時代は、仲よしの友人と文通もしていました。手紙を書くときにはどの便箋と封筒を選ぼうか、ペンはどの万年筆を使うのか、あれこれ考えるのが楽しみで、珍しい切手も集めていました」。

ときにはちょっとしたメッセージや親愛の情をしたためたカードを、同じパリ市内に住むクラスメイトなどにも郵送するほどの手紙魔だったそう。

大切な人へのメッセージは必ず手書きで

「今でも旅に出ると、必ず美しいポストカードを探して、家族や友人、仕事仲間に送るのが習慣になっています。今年の夏もバカンスでバリ島に行って、素敵なカードをみんなに送りました」というソフィーさん。愛する夫にも同様で、手書きの愛のメッセージをお互いに送り合っているとか。

「手書きの文字からは、その人の人間性やぬくもり、そのときどきの感情が伝わってきます。文面や筆跡を通して、書いた人を親密に感じることができるから。スマートフォンやタブレットが普及している現在、手書きの機会が次第に失われつつあるのは本当に残念なこと。私はプライベートでも仕事でも、お祝いや感謝の気持ちを伝える大切なメッセージは、必ず心を込めて手書きでしたためています」。

書くことへのこだわり、そしてステーショナリーへの愛着は子どもの頃から変わることなく、ソフィーさんにとっては今でも身近な人生の一部となっています。

日本のステーショナリーに一目惚れ

そんな彼女が新しく発表したステーショナリーのコレクション。仕事で年に何度も訪れる日本では、以前から大いにインスピレーションを受けていたそうです。

「ヨーロッパにも昔はあったけれど、今はなかなか見つからなくなった美しくて可愛らしい便箋やノート、紙製品を扱う専門店が、まだ日本にはいっぱいあるのね」と、エンボス加工の紙などの洗練された高品質な日本製ステーショナリーに魅了され、出張で滞在するたびに集めるようになっていたとか。「そのためポール&ジョーの世界をステーショナリーで実現するためには、日本のクオリティが不可欠でした。だから、日本のステーショナリーメーカー、マークスとパートナーシップを組めたことをうれしく思っているわ」とソフィーさんは言います。

夢のレターセットが出発点

こうして新たなコレクションを手がけるにあたり、ソフィーさんの出発点となったのはやはり長年こだわってきたレターセットでした。

「最初にイメージしたのは、きれいな箱に入っていて、便箋や封筒、シールなど必要なものがすべて揃っている、美しいレターセット。ポール&ジョーならではのモチーフと美しい色づかいに、日本の洗練された品質が融合した、エレガントでオリジナルなセットをつくるのが夢でした」とソフィーさん。

そこから始まって、手帳にノートやペン、マスキングテープまで、さまざまなアイテムのバリエーションが広がっていきました。「何度も試作を繰り返しながら、理想のステーショナリーが完成していくのはとても刺激的な経験でしたし、ポール&ジョーというメゾンならではの世界観を完璧に表現することができました」と、すべてのラインアップに大満足している様子です。

3つのモチーフの魅力

今回のメイン柄として、ソフィーさんは「クリザンテーム」「チェスキャット」「ウィンターエルダーフラワー」の3つのモチーフをセレクト。

「これは、私がこれまで提案してきたたくさんのテキスタイルの中から、普遍的で人気があり、最もポール&ジョーらしい、メゾンのアイデンティティーが現れているモチーフを選びました。それに、これらは流行に左右されない強さと美しさを持つ柄でもあります」と断言するように、キュートでロマンチックなモチーフにフレッシュな色づかいが印象的なコレクションができあがりました。

また「今後はシーズンごとにまったく新しい柄も加えていきます。さらに、クリスマスやバレンタインなど、季節やイベントに合わせてオリジナルの美しいモチーフを足していきたいと考えています」と、今後のアイデアもすでに湧き上がっているようです。

日々のクリエーションに手帳を活用

ポール&ジョーではレディスにメンズ、カジュアルラインの「ポール&ジョー シスター」にコスメやインテリアアイテム……と、多種多彩なコレクションを展開し続けているソフィーさん。日常生活の中でどんな風に手帳を活用しているかというと、「毎日のスケジュールは基本的にタブレットやスマートフォンで管理していますが、手書きすることは好きで習慣になっているので、新しいアイデアとか思いついたことを書きとめていますね」と、普段からバッグの中に忍ばせているとか。多忙な合間にも行きつけのカフェなどで手帳を取り出し、こまめにメモを書き込んで新作コレクションや新しいプロジェクトの構想を練っているのだそうです。

そして、ソフィーさんが「ポール&ジョー ラ・パペトリー」の手帳を通して日本のファンに伝えたいメッセージはただ一つ、「人生を楽しんで、今という瞬間を最大限に生きてほしい!」ということ。20代で立ち上げたブランドを、子育てと両立しながら大きく成長させたソフィーさん。仕事もプライベートも決して妥協せず、常にハッピーな人生を求めてきた彼女が提案する手帳のデザインも、フェミニンでしなやかな魅力に溢れています。

仕事とプライベートライフのバランスを大切に

こうして連日多忙な仕事をこなしながら、いつもポジティブかつダイナミックなソフィーさんには驚くばかりです。「確かに、毎日仕事は山のようにあります。でも、なんとかこなしているわ(笑)! 実際、優秀なスタッフに恵まれていて万全の態勢でサポートしてもらっているし、日本にも素晴らしいパートナーがいます。それに1年半前から、長男のアドリアンがチームに加わったのも心強く思っています。彼は私のクリエーションをサポートしながら、自分のブランド「ギャルソン・アンフィデル(Garçons Infidèles)」も立ち上げたのよ」。

ちなみに“アドリアン”は、ブランド名となった2人の息子、ポールとジョーのうち“ジョー”のセカンドネームで、現在は仕事上の通名にしているそう。それにしても、ハードスケジュールの中でプライベートライフはどうやって充実させているのでしょうか? 「今は息子たちも22歳と25歳で手がかからなくなったので、以前より楽になったのは確かね。次男のポールはパリで修士課程の学生ですが、息子2人とも定期的に顔を合わせているし、常に親密な関係を保っています」と、家族の絆はいつでも心の支えとなっているようです。

写真 : 新作コレクションの準備期間、サンプルの最終チェックを念入りに行うソフィーさん

写真左上から時計回りに:
左上:2017SSのファッションショー開催に向け、ショールームでスタッフとミーティング / 右上 : ポール&ジョー本社オフィスにずらりと並ぶ、目にも鮮やかなプリント柄のテキスタイル見本 / 右下 : ソフィーさんのオフィスには、日本で見つけたお気に入りオブジェもいっぱい。ネコ好きのソフィーさんならではの一品 / 左下 : ソフィーさんのデスク周りには、2人の息子たちをはじめ大切な家族の思い出写真がたくさん飾られている

どんなに忙しくても、女性としての人生を犠牲にしない

「夜も残業はなるべく避けて、早めに帰宅するようにしています。スポーツも長年続けていて、専属トレーナーをつけてワークアウトするのも欠かせません。また週末はできる限りオフにして、夫や親しい友人たちとどこかに出かけたり、自宅でゆっくり過ごします。とにかく、どれだけ忙しくても一人の女性としての生活は絶対に犠牲にしない、というのが私のモットーよ」と、強い意志を持って人生を謳歌するソフィーさん。

「そうそう、あと1年前からネコを飼い始めたの! 白のチンチラペルシャで、名前はジプシー。とっても可愛くて、私の心を癒してくれるわ」と付け加えるのも忘れませんでした。

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ソフィー・メシャリー Sophie Mechaly
ポール & ジョー アーティスティック・ディレクター / デザイナー

フランス、パリ生まれ。パリ大学で経済経営学を学んだ後、IFM(フランス・モード研究所)卒業。アズディン・アライアのもとでキャリアを積み、両親が経営していたシャツブランド「Le Garage」デザイナーに就任。1995年に2人の息子の名前を冠した「PAUL & JOE」のメンズコレクションを発表、翌年レディスも開始。2002年に「PAUL & JOE BEAUTE」、2006年に「PAUL & JOE SISTER」も誕生し、オリジナルプリントやディテールにこだわったフレッシュでモダンなパリ発スタイルが世界各国で人気を呼んでいる。