自分のやりたいことをみんなに見せる。SNS から仕事が生まれる

自分のやりたいことをみんなに見せる。
SNS から仕事が生まれる

エイドリアン・ホーガンさん / イラストレーター

「仕事や働き方の未来的な可能性を探る実験の場」として、編集者や映像作家など、さまざまなジャンルの新進気鋭のクリエイターが多く集まるコワーキングスペース、みどり荘。そこを拠点に活動するオーストラリア出身、エイドリアン・ホーガンさんのイラストやその姿を『ポパイ』や『カーサ ブルータス』の読者なら見たことがあるかもしれません。

「新しい働き方。新しい手帳。」のメッセージとともに、2018 年のEDiT 手帳のメインビジュ アルのモデルとしても活躍してくれたのも、このエイドリアンさんです。「死ぬまでイラストを描いていたい」そう語るエイドリアンさんの働き方や仕事観とは?

PHOTO : 濱田 英明

イラストレーターはスモールビジネス

「ワーキングスペースとしてみどり荘を選んだのは、コミュニティーに入ることで日本のサブカルチャーや雑誌のことが学べると思ったし、仕事につながる情報をもっと得たかったから」と、青い瞳がとてもきれいなエイドリアンさんは流暢な日本語で語ります。実際に、仕事や国籍も違うシェアメイトたちとはすぐに打ち解けることができ、異なるジャンルに携わる彼らとの声の掛け合いから新たな仕事が生まれることも多いそう。

「もし一人でできない仕事がきたらみんなに頼めるし、違うジャンルの人が大勢いるのがみどり荘のいいところです。ただ、フレンドシップに流されないように、感情のマネージメントも必要になります。イラストレーターは“毎日絵を描いてばかりいる”と思われているけれど、描いている時間は全体の30%。残りは打ち合わせや請求書作成など、事務仕事も多い。フリーは自由なだけでなく、だからこそ規律や責任も重要です。僕は“ 個人事業主” という言葉はあまり好きではなくて、イラストレーターは“ スモールビジネス” だと思っています」

やさしい笑顔で話す、エイドリアン・ホーガンさん

やさしい笑顔が印象的なエイドリアンさん

常に改善し続け、
自分が描くことを楽しみたい

そんなエイドリアンさんの仕事はとても丁寧。イラストをつくるプロセスを相手に説明し、デジタルツールを使うことで作業を効率化し、色変更などのリクエストにも応えやすくしています。その一方で、「イラストレーターとして一番大切なのは、何よりも情熱。そして自分のやりたいことをみんなに見せること」と、さまざまなアートワークを日々Instagram やTwitter といったSNS に投稿しています。そして実際にその効果があり、最近はそれらを見た人から仕事の依頼がくることも増えているそうです。

「個人的には手描きが好きですが、今はデジタルツールが進化しているので、デジタルと手描きの感覚はシームレスになっています。常にいろいろな方法を模索して、自分が描くことを楽しみたいし、“ 改善” をしていきたい。新しいことは、自分でつくっていかないと」

モデルをつとめてくれたEDiT 2018 年版のメインビジュアル

モデルをつとめてくれたEDiT 2018 年版のメインビジュアル

仕事では、デジタルで下描きをしてから手描きに起こすことも

仕事では、デジタルで下描きをしてから手描きに起こすことも

デスクまわりは作品やイラストの道具でいっぱい

デスクまわりは作品やイラストの道具でいっぱい

日常の何気ないシーンが
仕事のインスピレーションに

エイドリアンさんは、母国オーストラリアで過ごした中高生時代に1 日1 ページのフォーマットの手帳を使っていたそう。

「厳しい男子校に通っていたんですが、毎日のスケジュールや宿題を書いて、親の確認サインをもらうんですよ。人間には行動習慣が必要だと思うから、手帳が不可欠だと思うんです」

開いて見せてくれたエイドリアンさんの1 日1 ページ手帳には、日常の何気ないシーンがスケッチされていました。

「たとえば、ハウスメイトたちと伊豆へ週末旅行をしたときには、電車の中での様子を描きました。こうやって瞬間を残しておけば、そのときの空気を感じたり、話したことを思い出すことができる。それに、持ち歩いてボロボロになる方が好きですね。インクのはねなども味になるし。また仕事を依頼されたとき、ポーズや髪型、ファッションなどをインターネットで探すよりも、自分がリアルに見て、描いたものからインスピレーションを受けたい。そんなときは日常のスケッチが役立ちます。1 日1 ページ手帳だと日付があるのでいいですね」

エイドリアン・ホーガンさんのイラストでいっぱいのEDiT 1日1ページ手帳

① このアングルがいつか使えるかもしれない、そんな思いでホームに停車する新幹線を描く

② お弁当を楽しそうに広げるハウスメイトたちの様子は、思い出を切り取った瞬間

③ 疲れて寝入ってしまった友人の姿は、セピア色で濃淡をつけて表現。ポージングの参考に

④ ファッション誌の仕事も多いため、髪型や服装など、日頃からディテールの観察が大切

描かれた日が違うと、イラストのタッチまで違うのがおもしろい

描かれた日が違うと、イラストのタッチまで違うのがおもしろい

その日のファッションを書き留めた自画像

その日のファッションを書き留めた自画像

絵を描くための道具を持ち歩き、
街中がアトリエに

「 “歩きスマホ” というけれど、僕の場合は“歩きスケッチ”です」と笑うエイドリアンさん。スケッチブック、絵筆はもちろん、iPad や折りたたみイスなど、絵を描くための道具をすべてリュックサックに詰め込んで、毎日持ち歩いているといいます。

「絵葉書もよく描いて、オーストラリアの両親や友人たちに送っていますよ」

見かけた人の顔を動物にデフォルメ。目に映るすべてがイラストのモチーフに

見かけた人の顔を動物にデフォルメ。目に映るすべてがイラストのモチーフに

絵を描く人をもっと増やしたい

幼少時代から「絵を描くことは息をするのと同じことだった。死ぬまで絵を描いていたい」と話すエイドリアンさんは、アパレルをはじめとした企業のイベントに招かれ、ライブペインティングや会場のゲストの似顔絵を描く機会も多いようです。2017 年後半は、THE TOKYO ARTBOOK FAIR 2017 に参加し、これからは個展も開きたいと、さまざまな発表機会にも意欲的。

「絵を描くことは瞑想になるし、ストレス解消にもなるので、絵を描く人をもっと増やしたい、絵を描くことの楽しさを知ってほしい」。そんな気持ちで3 年前から月1 回、「PauseDraw」というスケッチのイベントを行っています。「今は半分くらいが外国人なので、日本人の方にももっと参加してほしいと思っているんです」

「絵を描く人を増やしたい」と始めた紙コップのアート

「絵を描く人を増やしたい」と始めた紙コップのアート

オーストラリアのクリエイターは、ロンドンやニューヨークに行くことが多く、「日本に来れば、他の人と違うことができるんじゃないか」と思っていたというエイドリアンさん。

「日本とオーストラリアは距離が近いのに、文化がまったく違う。将来は日本の芸術センスもオーストラリアに輸出してみたいですね」

アナログとデジタル、SNS とリアルを軽やかに行き来しながら、本当に絵を描くことを心から楽しみ、愛するエイドリアンさんのこれからの作品とますますの活躍が楽しみです。

1日1ページ手帳のフォーマット紹介はこちらから>

エイドリアン・ホーガン Adrian Hogan
イラストレーター

オーストラリア出身。2 013 年より東京に拠点を移し、国内外問わず、雑誌をはじめ、広告、書籍、ワークショップや似顔絵イベントなど幅広い分野で活動中。日常の様子をスケッチでコンスタントに投稿しているSNS も人気。

Web : adrianhogan.com
Instagram : @adehogan
Twitter : @adehogan
PauseDraw Facebook : @PauseDraw