IT企業で、新規サービスの立ち上げなどいくつものプロジェクトに関わるUXディレクターの福田基輔さん。

パラレルキャリアの中で、
自分の可能性を広げる

福田 基輔さん / UXディレクター

IT企業で、新規サービスの立ち上げなどいくつものプロジェクトに関わるUXディレクターの福田基輔さん。本業と並行して、毎年7月に開催される「フジロックフェスティバル」では、会場内のライブ&バーエリア「カフェ・ド・パリ」の運営を手掛け、さらに2017年からは、話題の宿泊サービス「Airbnb」のホストもスタート。分野の違う業界をアクティブに、かつ軽やかに行き来する福田さんに、これからの働き方、そしてそんなワークスタイルに手帳がどのような役割を担っているかについてお聞きしました。

PHOTO:加治枝里子

人が集まる心地いい“場 ”をつくりたい

「副業という概念があまりないんです。もともと大学では建築を勉強していましたが、その頃から仲間と海の家のバーを企画したりしていました。建築のプランを立てることより、人が集まるリアルな“場”をつくることにやりがいや楽しさを感じていたんです。」

自宅でインタビューを受けるウェブディレクターの福田基輔さん

自宅はスタイリッシュなヴィンテージマンション。広々としたリビングが印象的

建築も飲食も、“人が居心地いいと感じる空間をつくる”という意味では、本質的には近いという福田さん。学生時代のみならず、卒業後も仕事をしながら原宿の「3坪バー」という小さなバーのカウンターに立っていたり、昨年までは中目黒の飲食店で勤務していた経験も。飲食に関わること自体が好きというだけでなく、いずれは自分で店を持ち、自然と人が集まってくるような空間をつくりたい、という思いをひそかに抱いているとか。

相互作用するデジタルとリアルの関係

「好きなことは何でもやってみたくなる性格は昔から変わっていないですね。飽きっぽいだけかもしれませんが」と福田さんは笑います。学生時代は建築の勉強の傍ら、さらに独学でウェブデザインの勉強を始め、卒業後は身に付けたスキルを生かし、デジタルの分野へ。デザイン会社でウェブディレクターとして活躍した後、フリーランスでの活動を経て、現在のIT企業に転職。UX向上のためのアプリケーションを開発しグッドデザイン賞を受賞するなど、UXディレクターとしての存在感を発揮する一方で、「カフェ・ド・パリ」の運営やAirbnbのホストなど、プライベートでの活動も、気負うことなく自然発生的に始まっていきました。

自宅で作業するUXディレクターの福田基輔さん

アイデアを練るときや読書などに使う自宅のワークスペース

「デジタルの世界が本業になったことで、並行するもう一つの世界は自然とリアルな場になっていきました。デジタルとリアル、どちらも同時に存在することで、自分の中でバランスを取っているのかもしれません。ひとつのことだけを続けていると疲弊してくるけど、週末に別のことに向かうことで頭の切り替えになったり、自分の新しい存在価値を見つけたりできるんです」

さまざまな出会いやコミュニティから生まれてくるもの

毎年少しずつコンテンツを増やし、フジロック内でも人気のエリアとなった「カフェ・ド・パリ」は、2017年で9年目。知り合いや後輩など、ふだんは別々の場所で働いたり生活したりしていながらも、“フジロックが好き”という共通点でつながり集まった15名ほどのメンバーを率いて場づくりをし、2017年もライブやダンスパフォーマンスなどバラエティに富んだ内容で、盛況のうちに終了しました。

フジロックライブ&バーエリア「カフェ・ド・パリ」

「カフェ・ド・パリ」は“自分たちも楽しめるエリアに”がモットー

また、自身の海外旅行で、B&Bのサービスに感銘した経験から始めたAirbnbのホスト役は、「自分の国に住みながらも、さまざまな国の人との出会いや会話を楽しめる」という点に魅力を感じたといいます。

Airbnbのサービスを利用する海外旅行者にホストとして説明をする福田基輔さん

自身の旅での経験から、そのサービスの魅力を感じて始めたAirbnb

興味の赴くままに、トライし、学び、進んでいく福田さんの周りには、友人やパートナー、仕事仲間など、常に“人”の存在があるように見えます。さまざまなネットワークの中で、自分の人生の選択肢が増えていくことを楽しむ。そんなスタイルは、本業と副業、双方にいい影響を与えているようです。

「“何をやるか”より、“誰とやるか”が大事。個人の活動の中で知り合った人と“何か面白いことしようよ”となり本業につながる場合もあるし、新たな視点で取り組めるメリットもある。いかに外の世界とつながるかが重要ですね」

ひとつの肩書にとらわれることなく、同時に色々な活動をしながら自分の可能性を広げられる。それが今の時代の醍醐味だと、福田さんは語ります。

デジタルでは表しづらいアジェンダやプランを、ひと目で把握

予定はすべて、他者と共有できるオンラインの管理ツールを使っているという福田さんが手帳に書くのは、予定に対しての“アジェンダ”です。

福田さんのエディット週間ノート手帳の使い方

① 1日を午前・午後・夜と3つに区切って使用。時間表示のない罫線が大まかな予定管理にちょうどいい

② 空けておきたい時間帯は、一目でわかるよう四角い枠で囲んでブロック

③ 打ち合わせの際に必要なアジェンダを書き出して、事前の考えをまとめたり、整理したり

④ アジェンダに対する詳細やアイデアを自由にメモ。図形やイラストで視覚化

会社では承認する立場にある福田さんの1日はとにかく打ち合わせが多く、「自分の考えをあらかじめ意識的にまとめておかないと、プロジェクトの流れに沿った判断に身を任せてしまうことになる。それでは自分の存在の意味がなくなってしまう」と、週の初めに予定におけるアジェンダを書き出し、整理するようになったのだそうです。

福田さんのエディット週間ノート手帳の使い方

時間がない中でも、相手に伝えておきたいことは、移動中や空き時間を使って考える。時にはその“思考整理”の時間は、「階段を下りているとき」になる場合もあるという話からは、そのフル稼働ぶりがうかがえます。

空き時間を可視化できるのは、手書きならではのよさ

仕事後の会食も多く、「気づけば予定が埋まってしまう」状態を回避するため、本業以外の活動や、手続きなど生活に必要なもろもろの時間の確保には、「ここは必ず空けておく」という時間帯を枠で囲ってブロックするというのもポイント。

「これはつい予定を詰め込んでしまいがちの人におすすめの使い方ですよ」

福田さんのエディット週間ノート手帳 年間カレンダーページの使い方

プライベートのプランニングは「年間カレンダー」で

スケジュールページ以外では、1年全体を俯瞰して見られる「年間カレンダー」もお気に入りのようです。

「中長期のプランニングって、デジタルでやろうと思うとなかなか難しいんですよ。このページに書いているのは主にプライベートの計画ですが、先々を見据え、逆算して『今やるべきこと』を確認したり、『ゴールに対して自分が今どの地点にいるか』を見直したりできると、忙しくてもポジティブな状態で過ごせるんです」

自身では、「先々のことを考えるのが実は苦手」と話す福田さんですが、その苦手意識から「書く」ということが習慣になり、目の前のことに全力で注ぐエネルギーにつながっているのかもしれません。

福田基輔さんのプロフィール
福田 基輔 Motosuke Fukuda
UXディレクター

早稲田大学芸術学校建築科卒業。デザインコンサル会社にて数多くの大規模BtoCウェブサービスの情報アーキテクチャ設計・UI設計を担当。転職後の現職では事業開発・R&D部門に所属し、ユーザーエクスペリエンスの責任者として新規サービスの立ち上げに従事。主な受賞歴に、グッドデザイン・ベスト100、TIAAシルバー、ADFESTブロンズがある。