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"コンサルティング × クリエイティブ"
人にコミットすることがおもしろい

山下 紘雅さん / 株式会社ペントノート代表

大手コンサルティングファームを退社後、夫婦での世界一周旅行を経て、2015年に自身の会社「ペントノート」を立ち上げた山下紘雅さん。"コンサルティング × クリエイティブ" を軸に、企画やストーリーづくり、コンテンツ制作を通して、コミュニケーション領域を取り巻く課題解決をしています。ソフトで温和な人柄と、スマートさが伝わる話し運びのうまさが印象的な山下さんに、その働き方や手帳の使い方、そして「書くこと」に対する思いをお伺いしました。

PHOTO : 加治枝里子

クライアントが可能性を広げてくれる

コンサルティング・アプローチとクリエイティブ思考を組み合わせた編集力で、コミュニケーションを通じた課題解決を行う……周囲にクリエイターやパートナーを置きながらも、コンサルタント、プランナー、プロジェクトマネージャー、クリエイティブディレクター、ライターといった役割をひとりでこなしてしまう山下さんの仕事領域をひと言で語るのは難しく、山下さんは自身を“情報整理屋” と呼んでいます。

これまでにも、大手不動産会社のコンサルティングや中期経営計画策定支援、またはリゾート施設のブランディング、食品メーカーのコーポレートブランディングからパッケージデザイン、さらには大手eコマースの店舗運営ガイドブックの構成やライティングなど、実にさまざまな仕事に携わってきました。

「クライアントが何を求めているのか、五感で感じるようにしています。彼らが自分の能力を見出してくれて、可能性をどんどん広げてくれている。いっしょに成果を出したり、人にコミットしたりすることがおもしろいと感じています」

理工学部出身、中学時代には家族旅行の様子を綴ってウェブ公開するなど、早くからIT とコンテンツ、ロジカルシンキングとクリエイティブ、左脳と右脳を行き来してきたという山下さん。ビジネスの基礎をみっちりと鍛えられた5年間のコンサルティングファーム時代を経て、電子書籍を制作する会社に参画し、そこでも営業から企画立案まで、そしてシナリオや絵コンテ制作など、幅広い業務を経験しています。そんな経歴を持つ山下さんが現在の仕事にたどり着いたことは、自然な流れだったのかもしれません。

カフェでくつろぐ山下 紘雅さん / 株式会社ペントノート代表

仕事場でもあり、ホッとくつろぐ空間でもあるカフェ

大切な朝の日課は
子どもとのふれあいの時間

山下さんの朝は、息子さんを保育園に送ることから始まります。「日頃、10〜20の案件が同時進行していて、多忙な日々を送っています。夜は帰りが遅くなるので、朝は子どもとふれあう大切な時間です。子どもを送り、カフェで一息ついたあと、クライアントのオフィスでミーティングをしてから自分のオフィスへ行く……そんなルーティーンができあがっていますね」

子どもを保育園に送る山下 紘雅さん / 株式会社ペントノート代表

多忙な日々、子どもを保育園に送るひとときは毎日の楽しみ

コワーキングスペースでの出会いが生む仕事

銀座にあるコワーキングスペースで事業をスタートした山下さんは、そこで知り合ったライター、デザイナー、マーケティングリサーチャーらと協業し、クライアントの会社案内を制作したり、シナリオプランニングのワークショップを企画したりするなど、仕事につながった事例も多いといいます。

「小さい頃から人に興味がありました。コンサルタント時代もプロジェクト単位でメンバーが総入れ替えだったので、案件ごとに可変する仕事には抵抗がありません。でも “上司がどう思うか” を気にしていた以前に比べ、今は“クライアントやその先のお客さまがどう思うか” が本当に大事になりました」

株式会社ペントノート代表 山下 紘雅さんと共同パートナーのアートディレクター、星子卓也さん

共同パートナーのアートディレクター、星子卓也さんとの出会いもコワーキングスペースで

消費されない普遍的なコンテンツを手掛けたい

ペントノートの立ち上げ以前、1年におよぶ世界一周旅行を体験し、そのときの “誰とも話さない、何も書かない10 日間”というひたすら静寂に身を委ねる瞑想経験を通して「執着心がなくなり、過去にこだわらなくなった」という山下さん。そして、そんな彼の働き方を見ているクライアントたちは “もっと自由に考えていい、振るまってもいいんだ” と感じているようです。

現在は、麴町のホテルを改装したシェアオフィスの一室にベースを移し、アートディレクターの星子卓也さんをはじめメンバーが増えたペントノートの組織化・ブランドづくりに取り組んでいます。

「 “むずかしいことを、わかりやすく。複雑なものをシンプルに。” がペントノートのモットーであり、原点です。企画や編集の力がビジネス。きちんと情報を整理し、1本のストーリーとして紡ぎなおせば、ずっと続いていくものにできる。地味でもじわじわと染みていく、消費されない普遍的な事業やコンテンツを手掛けていきたいですね」

ホテルを改装したシェアオフィスの一室。趣がある「ペントノート」の新しいオフィス

ホテルを改装したシェアオフィスの一室。趣がある「ペントノート」の新しいオフィス

青いドット罫がちょうどいい
色分けすることで行動や予定を可視化

山下さんの手帳は、仕事が丁寧で完璧主義者の山下さんそのもののよう。「手帳の基本的な使い方だとは思いますが、たとえば出張はブルー、プライベートはオレンジなど色分けをすることでスケジュールがひと目で分かるようにしています。この月間ノート手帳は、自由なフォーマットながらも、書くときに青いドット罫がちょうどいい目安となるのがいいですね。それに用紙がツルツルしていて、気持ちがいい」。さらに山下さんの場合は、スケジュール管理以上に “振り返り” に使うことも多いそうです。

「スマホでもスケジュール管理はできるけれど、ひと月単位で視覚的に事実をとらえるという点では、紙のよさがありますよね。スケジュール欄に書かれていることは事実の積み重ねなので、それらを一覧で振り返ることで、忙しさや時間の使い方を客観的に把握し、次のアクションへと役立てています。手書きだと、文字の乱れや整理されていない状態で書かれてあったりするのを見れば、自身のコンディションを知るひとつの大事な情報にもなりますよね」

株式会社ペントノート代表 山下 紘雅さんの手帳、EDiT「月間ノート」

① 左端のメモ欄は、不確定な予定やTO DO を記入。予定の中に埋もれずに確認できる

② 出張はブルー、プライベートはオレンジと色分けをすることで、行動や予定がひと目で分かる

③ 時間刻みの毎日、あらかじめ作業時間を大きく取り、ボックスでブロックしておくことも大事

④ メモ欄には、その月のTO DO を記入。手帳紛失のリスクも考慮し、クライアント名はイニシャルで

どんな仕事も、まずは「ペンと紙」での手書きから

「パワーポイントを使うときも、まずは手書きで要素を整理して、必ず下書きすることをコンサルタント時代にたたきこまれました。 考えを整理するメモ書きはアウトプットとして形になるので処分しますが、クライアントにヒアリングした内容やワイヤーフレームなどはスキャンして保管しています」と話す山下さんは、エッセイやブログといった長く書くもの以外は、必ず手書きをしているそう。

「企画書作成にしろ、ライティングにしろ、自分にとってはどんな仕事も、まずは “ ペンと紙 ” で手書きすることからはじまります。そこで社名も『ペントノート』と名づけました。でも、使うペンや紙にはそれほどこだわりがありません。どこにでもあるものから生まれるもの、新しい価値を大事にしたいと思っています」

株式会社ペントノート代表 山下 紘雅さんの手帳、EDiT「月間ノート」メモページ

パワーポイントにまとめる資料の草案を手帳のノートページにまとめて

夢は「本をつくること」

「今後は、“コンサルティング × クリエイティブ”に“教育”も掛け合わせた事業をやっていきたい」とも語る山下さん。クライアントの若手育成をサポートしたり、自分のような仕事をする人を育てたりしていくことにも興味があるそうです。そんな山下さんの夢のひとつが、「本をつくること」。 “書くこと”がずっと好きで、学生時代から哲学者の土屋賢二や、ベストセラー『知的生産の技術』(岩波書店・刊)で知られる民族学者・情報学者の梅棹忠夫のエッセイに夢中になっていたといいます。

「世界旅行をしていたときも、旅行自体よりもブログを書くことの方が楽しかった。これまで “書く” という行為が心の充足をもたらしてきたという想いもあるので、いつかは40 万字で綴った旅行記を含め、本を出してみたいですね」。

“書くこと” 、そして “ことば” にこだわってアウトプットし続ける山下さんとペントノートのこれからがとても楽しみです。

株式会社ペントノート代表山下 紘雅さん
山下紘雅(やました ひろまさ)
株式会社ペントノート 代表

早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。大手コンサルティングファームにて、組織・人事領域を中心とする経営コンサルティングに従事。退職後、1年間の世界一周旅行へ。帰国後、デジタルコンテンツの企画制作を行うスタートアップに参画。2015年、「ビジネスの世界に、もっと編集力を。」との思いから、株式会社ペントノートを設立。

株式会社ペントノート : pentonote.jp
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