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インタビュー

フィンレイソン、時代を超えて愛されるデザイナー
アイニ・ヴァーリの暮らし

200年近い長い歴史を持ち、フィンランドを代表するテキスタイルブランド、「フィンレイソン」。そのフィンレイソンで60~70年代に活躍し、今でも愛され続ける柄の多くを手掛けてきたデザイナー、アイニ・ヴァーリさん。 ご自身の青春時代やフィンレイソンでの思い出をお話しいただいた前回に続き、アイニさんのご自宅の様子や日々の過ごし方などを語っていただきました。
PHOTO : Unto Rautio  TEXT : こばやしあやな

穏やかな光の中で生まれ続ける作品たち

現在アイニさんは、ヘルシンキから北西方向に110キロほど進んだところにある、フォルサという街の自宅に、ご主人と二人でお住まいです。フォルサは、かつてフィンレイソンの工場施設があった街。今日では博物館として利用されている跡地の倉庫には、今でも貴重な原画のアーカイブなどが収蔵されているといいます。

高齢のご夫妻が行き来しやすいよう、ダイニングキッチンとリビング、そしてアイニさんのアトリエスペースは隔たりなくすべて一続きになっています。

インテリアとして部屋のあちこちで目に入るのが、アイニさん作の大きな絵画作品や陶芸作品。陶芸は、趣味として街の市民講座でたしなみ始めたそうで、ご自身が大好きなピカソの陶芸作品へのオマージュや美しいイラストが絵付けされたお皿などがたくさん置き並べられています。

また南向きの窓からは、冬でも陽光が差し込み、タイミ柄のレースカーテンが繊細なシルエットを床や壁に落としています。そして、クッションやタオルをはじめとする、フィンレイソンのアイテムが家のあちらこちらに自然に溶け込んでいました。

寒いフィンランド、アイニさん流の冬の過ごし方

「フィンランドの最高の季節は疑いなく夏だけれど」と前置きした上で、アイニさんは、自分にとっての冬という季節は、暖かい室内で本を読んだりスケッチを書きためたりといったインプット作業や、自分との対話に使うための時間なの、と教えてくれました。

「私は性格上、どんどん外に出て、人と会って話し込んだり、庭仕事をしたりしてアクティブに過ごすのが肌に合っているんだけれど、それがなかなか難しい冬の間は、夏につい後回しにしがちな読書へと、ようやく、向かうことができるのよ」と笑うアイニさん。否応なしに室内でゆったり過ごせる分、クリスマスカードにも毎年何種類もの手描きのイラストを用意するのだとか。

また、アイニさんの今年の冬のマイ・ブームが、昨今フィンランドでも流行っている「大人のぬり絵」。色鉛筆ではなく、あえて発色のよいカラーサインペンを使って繊細に仕上げられた作品は、その色使いや細やかさからだけでも、彼女のセンスと年齢を感じさせない手先の器用さがうかがえ、うっとりしてしまいます。

EDiTを使う、日本のみなさんへメッセージ

最後に、ご自身のデザインパターンが用いられた“手帳を使ってくれる日本のみなさんへ”と、こんなメッセージをいただきました。

「昔と違って、今は世界のあらゆる世代や身分の人が、より自由に、いろんな形で私の作品を手にし、親しんでくれるようになったことがとてもうれしいです。私はこう見えてパンクな人間だから、こんなふうにつくり手と消費者、どちらにとっても本当に自由と呼べる時代に、ずっと憧れてきました。手帳は私たちの生活の身近にあるものだから、より親しみ深く私のデザインを楽しんでもらえるのではないでしょうか」

厳しい時代に生まれたのち、解き放たれてクリエイティビィティの創成期に青春を過ごし、その後も“好きなこと=デザイン”を突きつめ続けているアイニさん。いつまでも若々しいアイニさんの精神が宿るデザインだからこそ、時代を超えて、人々に愛され続けているのかもしれませんね。

※ こちらの商品は販売終了となっております。ご了承ください