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インタビュー

モノを減らせばアイデアがもっと生まれる!
ミニマリズム的仕事術のススメ。

ステーショナリーディレクターとして商品企画やPRコンサルティング、執筆業など、多彩な活動を行う土橋正さん。2014年に出した自著『モノが少ないと快適に働ける』(東洋経済新報社)では、仕事道具を最小限まで減らすことで集中力を高める効率を上げるミニマリズム的ワーキングスタイルを提唱し、自ら実践している。モノや情報があふれ、働き方も多様化する中、真にクリエイティブでいるには、どんな環境が理想的なのだろうか。横浜の象徴でもある山下公園が一望できるオフィスに伺って聞いた。
PHOTO:沼田学 TEXT:宗像幸彦

無機質なレンタルオフィスで、
余計なモノがない快適さに開眼!

パソコン、ノート、わずかな筆記用具、書類、そしてスケジュール帳。デスク上にあるものはこれだけ。決して広いとはいえない9畳ほどのワンルームだが、窮屈な印象をまるで感じさせないオフィスだ。それどころか、窓の外には山下公園や海に浮かぶ氷川丸が見え、開放的ですらある。

「仕事用の電話はPHSを使っているので、電話回線も引いていません。インターネットはモバイルのポケットWi-Fiで十分。プリンターとFAXは 自宅に置いています。基本はデスクと椅子があるだけ。あ、ただこのリラックスチェアは必需品ですね。原稿の校正をするときは、ここに座って行います。それ に、ちょっと昼寝しようっていうときにとても便利なので(笑)」

土橋さんが極限にまでモノを減らす主な理由はひとつ。自分の仕事において「考えること」をもっとも大切にしたいという一心からだ。じっくり思考をめ ぐらし、アイデアをブラッシュアップしながら形を整えていく。そうしたクリエイティブな作業に没頭するには、モノは最低限にとどめておくのが理想的だ。

「以前は、考えるという行為を何かのついでにやっていた」と語る土橋さん。電車の中だったり、あるいはミーティングの前後にちょっとだけ考える程度だった。しかし、今のミニマリズム的な仕事術を身につけてからは、考える時間を30分なり1時間としっかり確保し、そのための環境も整えて取り組むように している。すると、感覚がより研ぎ澄まされ、良い案も浮かびやすくなったという。その時に手にするのがノートとシャープペン。

タテ型・罫線のノートに慣れた人には、
この自由さを存分に味わってほしい。

土橋さんは、独立後の習慣として、使ったノートは必ず表紙に通し番号を振り、使い終えた全ページをスキャンしてデータ保存することにしている。ちなみに、この「アイデアノート・エディット」は通算102冊目。気になるインプレッションを尋ねてみると……。

「まず、面白いと思ったのが商品名。職業柄、長年いろんなノートを見てきましたが、『アイデア』と銘打っているのはちょっと珍しいかも知れません ね。次に注目したいのが、ヨコ型でドット罫を採用している点。私自身、普段からヨコ型で1cm間隔のドット罫が入ったノートを愛用していているんですが、 最大のメリットは自由になれるからなんです。タテ型で罫線のタイプだと、どうしても上から順に書いてしまいがち。絵でも描こうものなら、どことなくルール 違反しているみたいな気分になってしまう(笑)。かといって、無地だとちょっと自由過ぎる。ドット方眼はちょうどいいんです。ぜひとも従来のタテ型・罫線 に慣れ親しんだ人に使ってもらって、この自由さを存分に味わってほしいですね」

さらに、土橋さんが注目したのが「アイデアノート・エディット」に付属されているふせん。自身も物事を整理するときにはよく使っているアイテムだ。

「ふせんは普段からよく使っています。たとえば、大きなプロジェクトに取り組むときって、いろんな要素が絡んできますよね。そういった要素のひとつひとつをふせんに書きだしてみて、大きめのボードに貼って俯瞰して見るようにしています。執筆している著作の目次を考えようとするときなんかもそう。ふせんに目次の項目を書いて貼ってみて、なんか違うなぁと思ったら、順番を入れ替えてみたりとか。アイデアノート・エディットの場合、こういう作業がノート上で行えるところが便利なんじゃないでしょうか。しかも、ふせんはノートに直接書くのと違って、どこにでも貼れるので、特定のページに縛られないのが魅力。全部書き終えたノートから次の1冊に切り替えるときにも、貼り替えるだけで移動できちゃいますしね」

さすがは文具のプロフェッショナル。話を聞いているだけで、アイデアノート・エディットの使い方が無限に思えてくる。では、土橋さんにとって“究極の仕事道具”とは、いったいどんなものなのだろうか。

「存在自体が無になるというか、使っていることを忘れてしまうほど、しっくりとなじんでいるものですね。それこそ体の一部といってもいいくらいの。特に文具は決してスペックだけでは計れない。質感だったり、デザインだったり、個人の感覚に訴えるところが大きいんです。このアイデアノート・エディットも、使う人にとって、そんな存在になってくれればいいですね」

Profile

土橋正 Tsuchihashi Tadashi
ステーショナリーディレクター、文具コンサルタント

展示会「ISOT」事務局を経て、土橋正事務所を設立。商品企画、PRコンサルティング、売り場のディレクションなどを行う。ウェブマガジン「pen-info」では、コラムをはじめ、海外の展示会レポートなども執筆。著書に『モノが少ないと快適に働ける』(東洋経済新報社)『仕事にすぐ効く魔法の文房具』(東京書籍)、『ステーショナリーハック!』(共著、マガジンハウス)など。